「ネコもよう図鑑 色や柄がちがうのはニャンで?」浅羽宏著
空前のネコブームだが、ネコが人々を魅了する理由のひとつには、毛皮の柄のバリエーションの豊かさにあるのではなかろうか。ペットショップで購入するような純血種や単色をのぞき、よく見ると配色は同じでも同じ柄のネコは1組も存在しない。
本書は、かわいらしいネコの写真とともに、そんな猫の毛色と模様がどのような遺伝の仕組みで決まるかを教えてくれるサイエンス図鑑。
ネコの毛色は、おもに白・黒・茶の3色。1本の毛全体がその色の白毛、黒毛、茶毛に加え、根元と先端が黒色で中間部が茶色のように色が交互になる「アグチ毛」の4種類が基本。これらがさまざまに組み合わさって、あの変化に富んだ毛色と模様が生まれると。
外来遺伝子が入り込んでいない、街中や家の周りでよく目にするネコの模様を分類すると、飼いネコの原種に最も近いと考えられ、一本一本の毛がアグチ毛の「キジネコ」をはじめ、「茶色と黒」「茶色とキジ」の2種類がある「二毛(サビネコともいわれる)」など、11種類のパターンに分類される。
それらの毛色と模様を決めているおもな遺伝子の働き方を解説。遺伝子は、1本の毛の色を決める3種、体全体の毛色の配置を決める4種、毛の長さを決める1種の全部で8種類。それぞれの働き方が分かれば、街中で見かけるネコのかなりの部分の遺伝子を推察することができるようになる。
基本知識を身につけたら、後半はさまざまなネコの写真に、それぞれが持つ遺伝子の配列を示しながら解説してくれる実践編。お馴染みの三毛ネコも、黒毛の部分が単色だと黒三毛、アグチ毛だとキジ三毛に分かれるなど、知れば知るほどネコの色・柄と遺伝子の関係は奥深く、街中でのネコウオッチングがより楽しくなりそうな図鑑だ。
(化学同人 1400円+税)