「世界の本好きたちが教えてくれた人生を変えた本と本屋さん」ジェーン・マウント著 清水玲奈訳
長年、IT業界で働いてきた著者は、ある日、無性に絵が描きたくなりアパートの一室をアトリエにして、目の前の本棚を描き始めた。その絵がきっかけとなり、愛書家たちの蔵書のポートレートを描くようになった。やがて本棚にある本をそのまま描くよりも、「あなたにとって特別で、理想の本棚に一生置いておきたい1冊は?」をたずね、それを絵にした「理想の本棚」を描くようになったという。
そうして、これまでに1000点を超える「理想の本棚」、1万5000冊以上もの本の背表紙を描いてきた著者が、創作を通じて蓄積した情報をもとに、愛する本についてさまざまな視点から紹介するイラストガイドブック。
例えば「熱狂的ファンを生んだ聖典」の章では、出版社に却下された回数が最多(121回)のベストセラーとしてギネスブックにも載る「禅とオートバイ修理技術」(ロバート・M・パーシグ著)や、著者の自死10年後に出版された「まぬけたちの連合」(ジョン・ケネディ・トゥール著)など、批評家に酷評されても一部の読者に「一番の愛読書」に選ばれるほどのカルト的人気を誇る傑作本を紹介。
その他、絵本から究極の恋愛小説、旅行ガイド、哲学書、料理のレシピ集までありとあらゆるジャンルの本をテーマ別に取り上げる。
さらに、司書や書店主など本のプロが薦めるとっておきの名著などもあり、ページを繰るたびに読者の「読みたい本リスト」が増えていくに違いない。
本の紹介だけにとどまらず、世界各地の人気書店や図書館、書店の「看板猫」、アーティストが本にインスピレーションを受けてつくった「歌」など、本好きにはたまらない情報が満載。
(エクスナレッジ 1800円+税)