「日本ビール缶大全」長谷川正人著
アウトドアや旅先など、日常のあらゆるシーンで手軽にビールが楽しめるようになったのは、缶ビールの登場によってだった。本書は、そのビール缶に魅せられ約9000個を収集したコレクターの著者が、懐かしい缶や珍しい缶など、そのコレクションを紹介しながら、缶ビールの歴史や魅力を語るビジュアルムック。
日本初の缶ビールは1958年にアサヒから発売された「アサヒゴールド」。クリーム色のオーソドックスなデザインの缶で、容量は現在のレギュラー缶と同じ350㏄、価格は75円だった。
翌年にはサッポロ、その翌年にはキリン、宝酒造も缶ビール商戦に参戦。缶切りで上蓋に穴をあけて飲むというスタイルで、キリンの当時の広告を見ると、「缶詰」という表記まである。
当時はまだ瓶ビールが圧倒的に優勢だったが、1965年には缶切り不要のプルトップ缶、67年には指をかけやすいリングプルトップ缶、そして71年にオールアルミ缶が登場。
さらに家庭用冷蔵庫や自販機の普及で、需要を伸ばしていく。
その時代ごとに変化してきたビール缶のデザインを紹介。各社がしのぎを削るビール戦争の影響が、ビール缶のデザイン、商品ラインアップに表れているのだが、業界史に残る革命的ヒットとなったアサヒの「スーパードライ」だけはその誕生(1987年)から30年以上たった現在まで、基本的なデザインは変わっていないのだとか。
他にも、一世を風靡したサントリーの缶ビールのキャラクター「ペンギンシリーズ」や。地域限定、季節限定イベント記念など、さまざまな缶ビールを網羅。
懐かしいビール缶との再会に、ついついビールがすすむ。 (辰巳出版 1500円+税)