「ブルックリン・フォリーズ」ポール・オースター著 柴田元幸訳
元保険会社の外交員・ネイサンは、死に場所を求め、幼少期を過ごしたニューヨークのブルックリンにアパートを借り転居する。肺がんの治療には成功したが、仕事を失い、妻とは離婚、生きる気力を失っていた。おまけに元来の気難しい性格が災いして、友人もなく、一人娘との関係も絶望的だ。ダイナーとレンタルビデオ屋、そして古本屋に通う日々を過ごしていたある日、その古本屋で7年ぶりに甥のトムと再会する。
文学を研究して大学院に進学したトムは、なぜかタクシー運転手を経て古本屋の店員になっていた。以来、トムと昼食を共にするようになったネイサンは、彼から古本屋の店主ハリーの驚くような過去を聞く。
ブルックリンで暮らすさまざまな人の人生を描く家族再生の物語。
(新潮社 800円+税)