「ドロドロ文豪史」山口謠司著

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 石川啄木は借金まみれで26歳で死んだ。啄木は自分が天才だと信じていたし、父が寺の住職で布施として金品をもらうことに慣れていたから、人にものをもらっても当然と思っていたようだ。

 上京して先輩の金田一京助の下宿に転がり込み、ビフテキを食べたりビールを飲んだりしているが、それは全部、金田一が支払った。新聞の校正をしたり歌壇の選者をしたりして一生懸命働いてはいるが、入る金より出ていく金のほうが大きい。本当は何が欲しいのか自問して、それは「安心」だという答えを出したのだが……。(「石川啄木の成心」)

 ほかに、三島由紀夫が貧農出身の祖父の出自を隠していたなど、文豪の苦悶が伝わるエピソード集。

(集英社インターナショナル 1600円+税)

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