「鴎外の恋 舞姫エリスの真実」六草いちか著

公開日: 更新日:

 文豪・森鴎外が留学中の体験をもとに執筆した処女作「舞姫」。その物語の舞台となったベルリン在住の著者が、ヒロイン・エリスのモデルといわれる女性の実像に迫るノンフィクション。

 著者は、偶然出会ったドイツ人のM氏から、オーガイという軍医の恋人は「僕のおばあちゃんの踊りの先生だった人だ」と打ち明けられ興味を抱く。モデルとなったエリーゼは、帰国した鴎外の後を追って1888年に来日。鴎外の妹の回顧録には「路頭の花」(=娼婦)なる記述があり、研究者の間でも娼婦説が流布していた。著者は舞姫の描写と当時のベルリンの状況を重ね合わせながら、2人の出会いの場となった教会などを特定。

 一方で、M氏の家系を調べるなど、丹念にエリーゼの実像を明らかにしていく。

(河出書房新社 1250円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ