「道草の解剖図鑑」金田初代著

公開日: 更新日:

 散歩中、目を楽しませてくれる鮮やかな黄色のタンポポ。近年はヨーロッパ原産の「セイヨウタンポポ」が増え、日本に自生する「カントウタンポポ」や長野県以西に多い「カンサイタンポポ」が少なくなっていることは今や周知の事実である。では、その見分け方をご存じだろうか?

 花序と呼ばれる花の集まりを外側から包むように支え守る「総苞片」に注目。つぼみの時から総苞片の外側部分=総苞外片が反り返って垂れ下がっているのが「セイヨウタンポポ」で、総苞片が直立して反り返らないのが日本のタンポポ。さらに、総苞外片の先端にこぶ状、もしくは角状の突起があるのが「カントウタンポポ」で、総苞片が反り返らず外片の先の角状突起がほとんどないのが「カンサイタンポポ」だという。

 街中の散歩道をはじめ、公園や雑木林など、身近な場所で普通に見られる、そんな野草について教えてくれるイラスト図鑑。

 他にも見分けが難しいハルジオンとヒメジョオンをはじめ、オオイヌノフグリとスミレなどのお馴染みから、よく見るけど名前が分からない野草まで、色鮮やかなイラストで解説。似たような花は、花や葉の形、大きさ、つき方などポイント部分の拡大イラストも添えられ分かりやすい。ちなみに、つぼみがうなだれるように下を向いているのがハルジオンで、上を向いているのがヒメジョオン。

 花の咲く順番に早春から晩秋まで、季節ごと、科名ごとに200種以上の野草を網羅する。

 葉や茎をもむとハーブのタイムに似た香りの「カキドオシのペペロンチーノ」や、茎を割いて手首に巻く「タンポポの腕時計」など、野草の味わい方、遊び方も紹介。

 コロナ禍で必要に迫られて始めた散歩が、がぜん楽しくなるおすすめ本。

(エクスナレッジ 1760円)

【連載】発掘おもしろ図鑑

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い