「クロール大全」竹内慎司著
健康のため毎週プールに通っているが、あるとき隣のレーンを泳ぐ年配スイマーが私よりクロールのスピードが速いことに気づいた。なにくそとスピードアップを試みたものの、思うように進まない。いったいなぜだ!?そう考えていたところ見つけたのが、速く楽に泳げるメソッドを紹介する本書だ。
まずは、「体幹グライド」というのをやってみる。プールの中で両手をももの前に置き、姿勢を真っすぐにしたまま前に倒れる。同時に膝を曲げ、底を蹴って前に進む。頭頂部から足まで一直線にして水面と平行になれているかがチェックポイントだ。水の抵抗を減らすためには、水面で下半身が上がっている姿勢が正しくできているかが大事だという。
「こんな動作、簡単」と思いながらやってみた。しかし、ぜんぜんうまくできない! 何しろ、体が真っすぐにならず、腰や足が沈んでしまう。本書には、発生する問題と解決方法が細かに書いてあった。
どうやら原因は顔の向き。プールの底の模様を確認するように下を見つつ、顎は引きすぎてもダメで直立姿勢のときの顎と首の距離感を保つように意識せよとアドバイスする。なるほど、これだけで腰と足が浮いて真っすぐになり、水面を滑るように進めるようになった。
水をかくときに体が横向きになる悩みもあったのだが、これは伸ばした手が内側に入っているせいだと分かった。本書の指示通り、進行方向から30度外側を意識して手を伸ばしてみると、体がブレずにスイスイ進んで行くではないか! 今までどれだけ間違った動きをしていたかがよく分かった。メソッドをマスターすれば、今より10~15%のスピードアップが期待できるそうだ。 <浩>
(晶文社 1980円)