「スポーツ毒親」島沢優子著
2007年、九州の私立高校の女子バスケットボールクラブの外部コーチCが強制わいせつ、性的暴行などの容疑で逮捕された。告訴したのは女子生徒11人の保護者で、被害者は数十人に上ったが、その大半は被害届を出さなかった。
被害を受けなかった下級生の親のなかには、同意の上だったのではと考える者もいて、Cの無罪を訴える嘆願書の署名集めをする者もいた。被害届を出した生徒らは、卒業生や保護者からバッシングを受けた。功績のあるバスケット部の名誉を傷つけ、恩義のあるCを告訴したことへの怒りがあったのだろう。
スポーツ指導者の暴力を容認し、事実を隠蔽する親たちを取材したノンフィクション。
(文藝春秋 1540円)