「名刀ゆかりの地案内刀剣聖地巡礼」『刀剣ファン』編集部著

公開日: 更新日:

「名刀ゆかりの地案内刀剣聖地巡礼」『刀剣ファン』編集部著

 ゲームをきっかけに、近年、刀剣に魅了される若い女性たちが急増。「刀剣女子」なる呼び名も生まれ、かつて中高年男性の牙城だった刀剣好きの裾野が広がっている。

 そんな刀剣愛好家らのためのガイドブックシリーズ。最新刊の本書では、名刀や名工らのゆかりの地を特集している。

 日本刀の五大刀工流派、大和伝(奈良県)・山城伝(京都府)・備前伝(岡山県)・相州伝(神奈川県)・美濃伝(岐阜県)を総じて五箇伝と呼ぶ。いずれも古刀期から日本刀を生産し、おのおの作風が異なる。

 まずは、平安京が築かれた山城国の名工たちを紹介しながら、山城鍛冶発祥の地である粟田口の「粟田神社」や、その末社で鍛冶職の祖である天目一箇神と刀工の三条宗近と粟田口吉光を祀る「鍛冶神社」など、京の都に残るゆかりの地を巡る。以降、五箇伝のひとつひとつを紹介。

 続いては、勝海舟や新選組局長・近藤勇らの愛刀で知られる名工・長曽祢虎徹が鍛冶場を設けた東叡山忍岡(台東区)と虎徹が使用したと伝わる井戸がある五条天神社など今も都内各地に残る名工たちのゆかりの地。そして、伊達政宗のお抱え工で、その刀は江戸時代の刀剣書で最高位の切れ味を誇る「最上大業物」にも選ばれている仙台国包が眠る善導寺(宮城県仙台市)や、わが国最初の刀剣師といわれる伝説の刀工・天国が霊水をくみ、日本刀の原型を作ったと伝わる「天国の井戸」(奈良県宇陀市)など、全国の史跡や墓所などを紹介。

 さらに実物の日本刀を手にすることができる講座なども催されている「刀剣博物館」(東京都墨田区)をはじめ、歴史に名高い名刀を所蔵・展示している博物館や宝物館がある神社なども含め、約90のスポットを網羅する。

 名刀と名工たちの魂に触れる聖地巡礼の必携本。

(山と渓谷社 2420円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝