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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

「人間にとっての恥は立派になること」と語るタモリの美学

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 自分としては不本意だったが、そこで彼の才能が開花し始めた。それが後に「笑っていいとも!」(フジテレビ)の司会者として花開くことになった。そうした経験からタモリの根幹には「なるようにしかならないし、なるようにはなる」という思想が形成されていったのだろう。

 タモリが「反省しない」ことも、また有名だ。生放送の帯番組「笑っていいとも!」が30年以上続いたのは、反省しなかったからだと常々語っている。「人間、行き当たりバッタリがいちばんですよ」(講談社「MINE」98年9月号)と。

 日々反省し、それを糧にして夢や目標に向かって向上していく。それが、立派な人間だと世間では言われている。けれど、タモリはそれを真っ向から否定する。

「人間の不幸は、どだい、全体像を求めるところにあると思うんです」(飛鳥新社「話せばわかるか―糸井重里対談集」83年7月発売)

 過去を大事にし、未来を夢見るとき、人は現在を否定しがちだ。タモリは違う。赤塚不二夫イズムで「これでいいのだ!」と現在を肯定していく。そこに「自分史」のような全体像なんて関係がないのだ。

「人間にとって一番恥ずかしいことは、立派になるということです。僕にダンディズムがあるとすれば、このへんですね」(「週刊読売」95年1月22日号)

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