なぜ患者さんの職業を聞いちゃいけないの?
ずうたいのでかい病院では、患者さんについて皆で集まって会議をしています。若い医師にプレゼンしてもらって、チームの中で病状や治療方針を確認し、共有しているのですが、最近の傾向で一つ気がついたことがあります。
「この患者さんの仕事はナニ?」
「さあ? 聞いていません」
若い先生方は患者さんの職業が何なのか教えてくれないのです。というか、聞き取っていない、というか、関心がないようです。聞かなくてもいい、と教えられているのか、個人情報なので触れてはいけない、と教育されているのか。それとも「仕事なんてコロコロ変わるもんでしょ」ということなのでしょうか。
ただし、患者さんの家族構成はしっかりと掌握されています。高齢者の場合、治療の方針を誰が決めるのか、配偶者なのか、息子、娘なのか、診療を進めるうえでものすごく大事な要素だからです。
言うまでもないことだと思いますが、患者の職業は診療の上で大事な要素だと思います。病気になったら多くの人が「働きすぎのせいだ」「介護してきたせいだ」などと自分に言い聞かせるからです。