結婚披露宴で「会社、辞めます」と宣言して落語家の道に
そんな仕事をどうしてやめてしまったのか。
「今のかみさんに言われたのがきっかけです。彼女は一緒の舞台公演に出ていた芝居仲間で、10年付き合って所帯を持ったのですが、『一生の仕事にはならないんじゃない? 自分の好きなことをやりなさいよ』と言われて、結婚披露宴の新郎の挨拶で、『会社、やめます』と宣言しました」
新婦の後押しがあって決心がついたわけだ。
「はい。それでやりたいことを探している時に、ユーチューブで桂枝雀師匠の『上燗屋』という噺と出合うわけです。衝撃を受けて、落語家になりたいと思いました。それで枝雀師匠のことを調べたら、すでに亡くなってた。東京の落語家に弟子入りするにしても、自分の人生を預けられる人がいるのかなと、いろんな寄席を回ってる最中、国立演芸場で桂伸治と出会うんです。ヘラヘラ笑いながら高座に上がるのを見た瞬間、体に電気が走って、『この人しかいない』と思いました。噺を聴いてさらに、どうしても弟子になりたいという思いが強くなり、弟子入り志願しました」
何やら運命的な出会いである。 =つづく