富川悠太→トヨタ、久代萌美→吉本興業…元局アナが選んだ「企業専属」ウィンウィンの構図
この春、テレビ局を去ったふたりのアナウンサーが新天地で始動した。
テレビ朝日を3月末で退社した富川悠太(45)は、自身の公式サイトを開設。「トヨタ自動車の所属ジャーナリストとして新たな一歩を踏み出しました」と報告。「これまでの現場経験を生かした『本当のこと』への追求と挑戦を続けていく覚悟です」と記している。
一方、フジテレビを3月末で退社し、吉本興業とマネジメント契約を結んだ久代萌美(32)は20日、東京本社で行われた「吉本興業110周年感謝祭 西川きよしのコツコツ全国ツアー」発表記者会見で司会を担当。お笑い芸人の陣内智則(48)と一緒にソツのない進行ぶりをみせた。さるキー局関係者はこう話す。
「富川アナはいずれ、トヨタの公式ユーチューブチャンネル『トヨタイムズ』に出演するでしょう。久代アナはこうした吉本主催の記者会見で重宝される他、この春、吉本興業が立ち上げた『BSよしもと』の専属になるとみられています」
「企業メディア専属アナ」はこれから増える可能性
ふたりに共通するのは、従来のように、フリーまたは芸能事務所に所属して他の場所で活動するのではなく、自社メディアのお抱えアナウンサーになるという点だ。メディア文化評論家の碓井広義氏はこう話す。
「メディアの中心が、テレビの地上波やラジオなどからインターネットに移りつつある中、参入のしやすさから、企業がネットで自前の動画メディアを持つことも一般的になりました。当然、そこではプロが必要になってきますから、こうした流れは増えそうです。運営する側にとっては、タレントやフリーアナを使うより安上がりというメリットがあります。一方、元局アナにとっては、フリーでやっていくよりも、安定した仕事と収入を得られるというメリットがあるでしょう」
企業による自社のユーチューブチャンネル開設は定着。BS放送でも、この春、よしもとの他にジャパネットたかたの「BSJapanext」や「BS松竹東急」が開局している。賞味期限の短いキー局のアナウンサーにとって、スキルを生かして「企業メディア専属アナ」を選択することは、“第二の人生”として悪くなさそうだ。
「アナウンサーにとっては活躍の場を奪われることは一番の屈辱です。元NHKの大越健介キャスターの起用で『報ステ』の出演日を減らされていた富川アナ、そして昨年7月にネットワーク局に異動となっていた久代アナにとっては、渡りに船だったはずです」(前出のキー局関係者)
■トヨタ所属ジャーナリストって?
ただ、前出の碓井氏は富川アナの「肩書」に関しては疑問を呈する。
「公式サイトで自身を『ジャーナリスト(トヨタ自動車所属)』と言っているのは、いささか盛りすぎですね。企業に所属している時点で、それは文字通り企業のアナウンサー=広報マンです。言いたい気持ちもわからなくはないですが、本職のジャーナリストが聞いたら噴飯モノでしょう」
富川アナはトヨタが不祥事を起こした場合にどうジャーナリスト魂を発揮するのか、けだし見モノである。