気分UP間違いナシ!鉄旅本特集
「ナゾの終着駅」鼠入昌史著
どんなにへこむことがあっても、電車を見れば心が躍る。そんな鉄道ファンなら、気分UP間違いなしの鉄道本はいかが? 今回は、終着駅、鉄印などがテーマの鉄旅本4冊をご紹介!
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「ナゾの終着駅」鼠入昌史著
残業で疲れて飛び乗った最終列車で、うとうとして気づいたら終着駅だった。そんな事態は悲劇だが、ならばむしろ前向きな気持ちであちこちの路線の終着駅を探訪してみてはどうだろう。
そんな飽くなき著者の好奇心に導かれ、首都圏から関西圏、あったかいところから寒いところの終着駅をのぞき見できるのがこの本。中央線の大月駅や阪和線の日根野駅、山陽本線の糸崎駅、宗谷本線の稚内駅など、日本の通勤路線30駅の終着駅周辺を旅できる。
たとえば、JR京葉線や総武線快速の一部が終着の千葉県の上総一ノ宮駅は、九十九里浜に近い。朝の通勤時に横須賀線に乗って東京駅で降りるつもりが、気づけば総武線直通便で上総一ノ宮まで行ってしまったら、海まで歩いてサーフボードを借り、サーフィンしようと著者は提案している。 (文藝春秋 1045円)
「鉄印帳の旅」EIWA MOOK
「鉄印帳の旅」EIWA MOOK
神社巡りで御朱印集めをするように、鉄道会社の「鉄印」を集める鉄道の旅を楽しむのも悪くない。本書は、そんな人に向けた全国40路線の鉄印情報のガイドブック。地域別路線の見どころのほか、週末1泊2日鉄印の旅プランも提案している。
関東なら初日に東京駅から特急わかしおに乗車して大原駅に行き、いすみ鉄道に乗り換え大多喜駅で鉄印をゲット。再び東京駅に戻り高速バスのかしま号に乗車し鹿島神宮駅に行って1泊。翌日は鹿島神宮駅から大洗駅に移動して鹿島臨海鉄道の鉄印を記帳し、そこから水戸まで行き水戸線下館駅で真岡鉄道に乗り換え真岡駅で鉄印を手に入れる。
さらに下館駅、桐生駅を経てわたらせ渓谷鉄道に乗り換え相老駅で鉄印を押す。4個の鉄印を記帳できるこのプラン、ぜひお試しあれ。 (英和出版社 1650円)
「おもしろ鉄道珍百景」坪内政美著
「おもしろ鉄道珍百景」坪内政美著
幼い頃から鉄道が好きで小学5年生から鉄道関連の写真を撮り始めた著者。鉄道に乗ると酔うというハンディを乗り越え、日産セドリックにカメラを積んで全国どこへでも撮影に行く鉄道カメラマンとなった今、各地で出合った鉄道関連珍百景を、本書ではあふれんばかりにゴリ押し気味に紹介している。お馴染みの車両や駅舎などの写真だけでは飽き足らない人必見の、見たこともない光景が大集合だ。
たとえば、青森県に新幹線が来たのがうれしくてE2系「はやて」を模して造った本八戸近くのトイレ、リゾートしらかみ1.3号の乗客だけフリースローが楽しめるJR五能線能代駅1番ホームのバスケゴール、ディテールの再現率が凄い鉄道車両形パンを売る京都のパン屋など。着眼点が暴走気味で、「なんだコレ?」が満載だ。 (イカロス出版 2200円)
「きっぷのしくみ」荻野貴久著
「きっぷのしくみ」荻野貴久著
ICカード乗車券が普及し、QR乗車券なども出現している今、切符を使う機会はすっかり減った。よく使われるICカード乗車券の規則は各社独自のものだが、それら制度は国鉄時代からJR各社に承継されている紙の切符のルール上に継ぎ足された。このため実はギリギリのところで互いの制度の矛盾を回避しつつ何とか全体が成立している状況だという。
そんな複雑怪奇になった鉄道の規則を、法律家の立場から読み解いているのがこの本。
切符の種類と運賃・料金の仕組み、普通乗車券や料金券、入場券や特別企画乗車券の仕組み、買う・乗るときや乗っている・降りるときのルール、ICカード・ネットで買う切符やタッチ決済、列車が止まったときのルールなどに加えて、鉄道旅客運送制度の基礎知識に至るまで、詳細に解説している。 (交通新聞社 2420円)