元祖“黒船グラドル”アグネス・ラム来日騒動
■1976年11月
近年、話題を呼んだ黒船グラビアアイドルといえば、06年に来日したリア・ディゾンだが、リアから遡ること30年、70年代後半に活躍したアグネス・ラムも、元祖グラドルとして社会現象を起こす人気を誇った。
アグネスはハワイ在住の中国系アメリカ人。父親の姓“ラム”は漢字で「林」と書き、母親はイングランド、アイルランド、ポルトガル、ハワイアンの血を引いていた。
75年6月、当時19歳のアグネスは第1回クラリオンガールに選ばれた。その後、アイドルの登竜門として数々の人気者を輩出した同キャンペーンだが、初回のアグネス起用の理由はなんと「お金は出せないが効果的な宣伝をしろ」という社長命令だったという。クラリオンは撮影スタッフをハワイに向かわせ、1日100ドルのモデル料で撮影を済ませた。
アグネスは同年夏にコダックのカメラ、秋にはライオンのトリートメントCMにも起用され、人気に火がつき始めた。
クラリオンのポスターは10月に1万枚が刷り上がったが、販売店の店頭に張り出すそばから盗まれ、急きょ10万枚を増刷したにもかかわらずあっという間になくなる騒ぎに。ライオンのポスターも50枚のプレゼント企画になんと14万通もの応募ハガキが殺到。当時の日本では歌手でも女優でもないCMモデルがここまで大きなブームを起こすことは異例のことだった。