痔にあらず…お尻から“大量出血”は「大腸憩室」が原因
「大腸の中で便などが憩室に刺激を与え、粘膜が傷つくと、憩室につながる血管は動脈なので、真っ赤な血が尋常じゃないほど出ます」
便器にポタ、ポタ、ポタ……といったレベルの出血ではない。便器内がバーッと赤くなるほどの出血なのだ。
「この時、出血が大腸を刺激するので、腹がぐるぐる動くなどの不快感があります。出血は、しばらくすると止まりますが、何度も繰り返すうちに出血が止まらなくなり、救急車を呼んだという患者さんは結構います。患者によっては、〈また痔の出血だ〉としばらく様子を見る人がいますが、それが大量出血につながりかねない」
大腸憩室の出血リスクが高い人は、高血圧や動脈硬化の人、血液をサラサラにする抗血小板薬などを服用している人などだ。「大腸憩室がある」というだけでは痛みや不快感などの自覚症状はないので問題ないが、出血をしたら、すぐに病院で検査を受けるべきだ。
■食物繊維の摂取で予防
大腸憩室の従来の治療は、内視鏡で1センチほどのクリップを入れて、出血した憩室の入り口を挟む方法。ところが、これでは上行結腸など出血量が多い憩室に関しては、5人に1人はうまく止血をできない。日本人はもともと上行結腸の憩室が多いので、適切とは言いがたい。