効果に疑問符 歯科医師はなぜ「歯磨き剤」を勧めないのか
■かろうじて効果があるのは2つだけ?
実は歯磨き剤には2種類ある。歯石の沈着や口臭などを防ぐための基本成分のみが入っている「化粧品」と、歯と歯ぐきの健康を保つための薬効成分が含まれている「医薬部外品」(薬用歯磨き剤)だ。
「薬用歯磨き剤には漢方や消炎剤、ビタミンやプラークを溶解する薬剤が入っているものがありますが、有効成分が吸収できるか疑問だったり、効果があってもその場限りとしか考えられないものがほとんどです。あえて効果を認めるとしたら、歯磨き剤は『フッ素入り』と『知覚過敏用』です」
フッ素入りは子供や歯ぐきが下がって象牙質がむき出しになったところが虫歯になっている中高年には有効だという。プラークの中での細菌の活動を抑制し、歯の質を強化して、歯の再石灰化を促す働きがある。
「冷たい水などが歯にしみる知覚過敏用の歯磨き剤は、刺激が通る象牙質の細管の入り口をふさいで痛みを止める効果が得られます。ただし、いずれも根本治療にはなりません。あくまでも歯科医師に行く前の処置としては有効ということです」
基本的に歯磨き剤は必要ない。ただし、コーヒー好きの人などは歯の表面に色素が付着する恐れもある。そんな人は普段の歯磨きは水だけで行い、1日1回程度、研磨剤を含んだ歯磨き剤で歯の表面をザッと横磨きするのがいいだろう。