薬の服用数は減らせるが…「合剤」が向く人と向かない人

公開日: 更新日:

■胃の不調で正しい薬効が表れないケースも

 また、いくつも病気を抱えている人は合剤がNGなケースがある。

 たとえば、慢性疼痛の投薬治療では、鎮痛薬の合剤がガイドラインで推奨されている。しかし、鎮痛薬の合剤には、肝機能が悪い人が飲むと状態を悪化させる成分が含まれている。もともと肝機能障害がある人はもちろん、合剤を服用中に肝機能が落ちてきた場合は、単剤に切り替えなければならないという。

「胃の不調があって消化が悪い人も合剤に向いていません。薬には、胃で溶けて吸収されることで効果が表れるタイプと、腸で吸収されることで効果が表れるタイプがあります。その2種類を組み合わせた合剤は、腸で吸収するべき薬の周囲に、胃で吸収するべき薬がコーティングされています。そうした合剤を消化が悪い人が服用すると、いつまでも胃の中に薬が残ってしまい、腸で吸収すべき薬の成分を腸で吸収できません。逆に胃では吸収されずに薬がそのまま腸まで通過してしまい、正しい薬効が表れないケースも考えられます」


 血液をサラサラにして脳梗塞などを予防する薬に、前記のタイプの合剤がある。予防薬は、特に自覚症状がない状態で服用し続けるので、本人はその薬が本当に効いているのかどうかはわからない。そのため、胃の調子が悪い人がこの合剤を服用し続けた場合、実際には正しい薬の効果が出ていなかったことで、脳梗塞を招いてしまう可能性もありえるのだ。

 飲む薬を減らしたいからと、安易に合剤に飛び付くべきではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    2度不倫の山本モナ 年商40億円社長と結婚&引退の次は…

  2. 2

    日本ハムFA松本剛の「巨人入り」に2つの重圧…来季V逸なら“戦犯”リスクまで背負うことに

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  5. 5

    「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得

  1. 6

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  2. 7

    (2)「アルコールより危険な飲み物」とは…日本人の30%が脂肪肝

  3. 8

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  4. 9

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 10

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然