薬の服用数は減らせるが…「合剤」が向く人と向かない人
■胃の不調で正しい薬効が表れないケースも
また、いくつも病気を抱えている人は合剤がNGなケースがある。
たとえば、慢性疼痛の投薬治療では、鎮痛薬の合剤がガイドラインで推奨されている。しかし、鎮痛薬の合剤には、肝機能が悪い人が飲むと状態を悪化させる成分が含まれている。もともと肝機能障害がある人はもちろん、合剤を服用中に肝機能が落ちてきた場合は、単剤に切り替えなければならないという。
「胃の不調があって消化が悪い人も合剤に向いていません。薬には、胃で溶けて吸収されることで効果が表れるタイプと、腸で吸収されることで効果が表れるタイプがあります。その2種類を組み合わせた合剤は、腸で吸収するべき薬の周囲に、胃で吸収するべき薬がコーティングされています。そうした合剤を消化が悪い人が服用すると、いつまでも胃の中に薬が残ってしまい、腸で吸収すべき薬の成分を腸で吸収できません。逆に胃では吸収されずに薬がそのまま腸まで通過してしまい、正しい薬効が表れないケースも考えられます」
血液をサラサラにして脳梗塞などを予防する薬に、前記のタイプの合剤がある。予防薬は、特に自覚症状がない状態で服用し続けるので、本人はその薬が本当に効いているのかどうかはわからない。そのため、胃の調子が悪い人がこの合剤を服用し続けた場合、実際には正しい薬の効果が出ていなかったことで、脳梗塞を招いてしまう可能性もありえるのだ。
飲む薬を減らしたいからと、安易に合剤に飛び付くべきではない。