ニオイが消えたら黄信号 認知症は嗅覚を鍛えて予防・改善
「嗅神経は鼻で吸い込んだにおいの粒子を電気信号に変えて脳に伝えます。そのため、外界から悪い刺激も多く受けます。一方、アミロイドβは神経細胞死をもたらす“悪の存在”なのでなく、炎症や毒物、栄養不足から神経細胞を守ることがわかってきました。つまり、普段ならアミロイドβはほどよく産生され、ほどよく溶解されることでその役割を果たしているのですが、そのバランスが崩れたときに嗅神経を含めた脳神経を障害する、と考えたのです」
ならば、嗅神経を鍛えれば脳神経を維持できるのではないか。浦上教授らは実際にアルツハイマー病17人を含む28人の高齢者に、アロマセラピーの効果を検討したという。
28日間、毎朝、ローズマリーカンファーとレモンの精油を、夜は真正ラベンダーとスイートオレンジの精油の芳香剤を各2時間嗅いでもらったところ、その期間中は抽象的思考力が改善され、実験後は徐々に元の状態に戻った。
同様の研究を特別養護老人ホームに入居する高度アルツハイマー病患者65人を含む77人を対象に行ったところ、高度アルツハイマー病患者のタッチパネル式の認知症評価法の点数がアップした。