ニオイが消えたら黄信号 認知症は嗅覚を鍛えて予防・改善
認知症の患者は時間認知が衰える。結果、一日の生理リズムが崩れ、深夜の徘徊などが起こる。アロマセラピーはその改善も期待できるという。ちなみに現在のアルツハイマー病の研究の中心は「病気の原因は脳神経に蓄積するアミロイドβだから、その量を減らせばいい」とする「アミロイドβ仮説」だ。しかし、それを基にした創薬研究はことごとく失敗している。
「それは対象患者と投与のタイミングの間違いに過ぎず、仮説自体は正しいと考えています。より軽度の認知機能低下の状態(軽度認知障害=MCI)から早期にアミロイドβを除去すれば結果は違ったと思います」
ただ、アミロイドβが過剰産生や少量溶解に陥る原因にも目を向け、それを改善する生活習慣に変える必要がある。
「たとえば睡眠です。質の良い十分な睡眠はアミロイドβタンパクの分解を促進し神経細胞死を防ぎます。香りと睡眠の改善である程度予防や改善はできるのではないか、と期待しています」
根本治療法がないからと認知症をあきらめてはいけない。早期発見できれば打つ手はある。