「新鮮」に落とし穴…旬の魚に潜む寄生虫と食中毒への対処
クドアによる食中毒も冷凍か加熱処理で予防できる。マイナス20度で4時間以上、あるいはマイナス80度で2時間以上冷凍、もしくは中心部の温度を75度以上で5分以上加熱するとクドアは失活する。
「冷蔵では1週間は生存するといわれています。ヒラメの刺し身を食べる際、食中毒が気になるなら冷凍処理をしたものを選ぶとよいでしょう。解凍してもクドアによる食中毒は起こりません。農林水産省・水産庁が、ヒラメの養殖場での適切な管理でクドアがヒラメに寄生することを防止する取り組みを行っており、食中毒数は低下しています」
余談になるが、居酒屋のお通しや、干物、沖漬けなどで一年を通して食べる機会のあるホタルイカでも、「旋尾線虫」という寄生虫で食中毒が発生していた。
旋尾線虫は胃壁や腸壁を食い破るだけでなく、腸閉塞を起こしたり、皮膚の下を移行してミミズ腫れを起こしたりもする。
食中毒の発生を受け、厚生労働省は、生食する場合は一度冷凍したり、茹でるなどの加熱処理をする予防策を求め、最近では食中毒の報告はほとんどなくなっている。
寄生虫による健康被害は注意すれば十分防げる。「冷凍物は味が落ちるから、新鮮なものを生で食べたい」と考えがちだが、生食することのリスクを十分踏まえた上で冬の味覚を楽しんでほしい。