運動は認知症の予防や改善に役立つか? 専門家に聞いた

公開日: 更新日:

運動すれば特定のニューロンが発芽(軸索が伸びてネットワークを補強したり新しく作ったりすること)します。ニューロンが死んでも別のニューロンの発芽によりネットワークを作り直すことができます。このとき周りのグリア細胞も活動して必要な代謝物や栄養が脳内に運ばれる。結果、脳の恒常的な作用は保たれやすくなると思います。ただ、それでアルツハイマー病認知症の病態抑制効果があるとはハッキリ言えないと思います」

 たとえば、「手続き記憶」と呼ばれる記憶がある。文字を書いたり、自転車に乗れたり、楽器の演奏ができたりする、いわば段取りの記憶だ。同じような経験の繰り返しにより獲得でき、いったん記憶されると無意識に機能して長期間保存される。

「手続き記憶は手足を動かすことで記憶の回路が強化されるため、運動で記憶は強化されるでしょう。しかし、運動で人の顔を覚えるなど他のパターンの記憶も保持されるのか、という点については分かりません」

 複雑な道を走るロンドンのタクシー運転手の海馬の灰白質(記憶にかかわる脳の領域)は年をとっても衰えず、成長しているという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…