運動は認知症の予防や改善に役立つか? 専門家に聞いた

公開日: 更新日:

「認知機能が低下した人は同時に2つ以上のことをするのが難しくなります。実際、歩いているときにおしゃべりすると転びやすい、という報告があります。認知症を検知したり改善したりするため同時に2つ以上のことをする訓練のひとつとして運動は良いのかもしれません。しかし、運動だけでOKというわけではないと思います」

 そもそも、認知機能テストで一定の点数を取れば正常と認定されるが、正常とされる脳にもさまざまなバリエーションがある。時間感覚、記憶、空間認識、図形認識に問題がある場合がある。

 その意味でも「運動だけしていれば認知症対策が十分」というわけではない。

■筋肉の収縮で分泌される物質との関係

 最近の研究よると、筋肉の収縮により分泌される「マイオカイン」などと呼ばれる物質が脳に運ばれて、神経細胞そのものを制御したり、免疫担当細胞の働きを変えたりする可能性が取り沙汰されている。

「筋肉由来の物質が、異常なタウやAβの排除に関わるミクログリアやアストロサイトといったグリア細胞を活発化するのでは、と注目されています。さらにはこうした物質が、正常な神経細胞までも攻撃するタチの悪いミクログリアを、正常に戻す働きがあるかもしれないという仮説もあります。しかし、いずれも研究途中であり、どの部位をどの程度動かせばどのような効果が得られるか、明確な結論は出ていません」

 運動は認知症に良い影響を与える可能性は高いが、認知症が気になる世代にとって運動はリスクになる場合も。現時点ではその効果を過信せず、散歩程度にとどめておく方がいいかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された