胃がん<4>なぜ放射線治療の記述が見当たらないのか?
がん手術が終わると、抗がん剤や放射線が待っています。手術では肉眼や術中の病理診断で確認できる限りの腫瘍を切り取りますが、それでも再発や転移が起こることがよくあります。そこで予防的に術後の抗がん剤や放射線を行うのです。肺がん、乳がんなど多くのがんで、2つを組み合わせた「化学放射線療法」が標準治療のひとつとして組み込まれています。
胃がんでも同様でしょうか。
ところが過去から現在の治療ガイドラインをつぶさに眺めてみても、放射線は出てきません。術後の抗がん剤は標準治療に入っているのに、放射線は一切入っていないのです。
それは、放射線が胃がんにほとんど効かないからです。胃だけでなく十二指腸や大腸でも、放射線が使われることはありません。
しかし、胃の真上の食道がんには使われます。食道がんのガイドラインによれば、ごく早期で、かつ内視鏡で切除するには大きすぎる場合、選択肢のひとつとして放射線が挙がっています。ステージⅠ以上では手術が第一選択ですが、追加で化学放射線療法が選択肢に入っています。