胃がん<4>なぜ放射線治療の記述が見当たらないのか?
直腸がんや肛門がんでも放射線が使われています。とくに肛門がんの多くは放射線によく反応するため、手術で肛門を失いたくない人には、ありがたい選択肢になっています。
原因はがんの種類の違いです。放射線は扁平上皮がんと呼ばれる種類によく効きますが、腺がんと呼ばれるものにはあまり効きません。胃がんや大腸がんの大半は腺がんなので、いくら放射線を当てても、副作用ばかり強くて治療効果は上がりません。一方、食道がんや肛門がんは扁平上皮がんが多いので、放射線治療が有効なのです。
そういうわけで、胃がんでは術後の放射線治療はなし。必要に応じて化学療法(術後補助化学療法)が選択されます。「胃癌治療ガイドライン」によれば、ステージⅡとⅢが対象で、ステージⅠは何もせず経過観察となります。またステージⅣは手術がなく、そのまま化学療法や緩和療法が始まります。
2001年当時は、使える薬は5―FUとシスプラチンの2種類でしたが、現在では10種類以上に増えており、治療はかなり多彩になってきました。次回から胃がんの化学療法について見ていくことにしましょう。