医師が疑問を呈する コロナウイルス対策「行為の矛盾」

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルス感染症の急拡大でさまざまな工夫をしている人も多いはず。しかし、その中には医療関係者が首をかしげる矛盾した対策をしている人も少なくない。そこで公衆衛生にも詳しい岩室紳也医師に話を聞いた。

「予防対策の基本は、マスクを着用して3密(密閉、密集、密接)を避けることとされていますが、落とし穴は一番リスクが高い『接触感染』の意識が低下することです。マスクで3密さえ避ければ大丈夫と考えているので、感染している人の飛沫が付いたところに手で触れても気にしない。その手に付いたかもしれないウイルスを口、目、鼻の粘膜に届けてしまう人が目立ちます」

 例えば換気の悪い密閉空間を避けるためにタクシーの窓を全開にしているのに、乗車賃は現金で受け渡しする。密接した会話や発声を避けるために宅配便の荷物は直接受け取らずに玄関先に置いてもらったが、床に付着したウイルスには無関心――などだ。

「マスクの使い方にも矛盾があります。新型コロナは無症状感染者も感染源になっているとされています。マスクはウイルスを含んでいるかもしれない自分の飛沫を周辺にまき散らさないために役立ちます。しかし、マスクが自分の身を守る効果があると証明されてはいません。むしろ、マスクは正しく着けないと危険なこともあるのです。それは無意識のうちにマスクの表面を誰かの飛沫を触った可能性がある手で触り、付着したウイルスを吸い込む可能性があるからです。私に言わせれば、マスクを正しく使えていない人がマスクを使うのは社会のためだとアピールしているだけで、自分が感染してもいい、死んでもいいと思っている人としか思えません。自分が感染したら自分とつながりのある大切な人たちを感染させるかもしれない、という考えに至らない。これこそが問題だと思うのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」