消毒液による「うがい」のやり過ぎは逆に感染リスクをアップ
「ポビドンヨード入りのうがい薬は粘膜にも使える唯一の消毒液で、のどなど口腔内の粘膜に付着した感染前のウイルスや細菌を死滅させ、その時点で口腔内や唾液に存在しているウイルスの量を少なくする効果があります。しかし、完全に除去することはできませんし、感染した=細胞内に入り込んでしまったウイルスに対してはまったく効果がありません。つまり、口腔内の表面に付着したウイルス量を一時的に減らせはしても、感染防止効果はほとんどないといえますし、重症化の予防効果もないと思われます。むしろ、口腔内の常在菌にダメージを与えてしまって、逆効果になる可能性があります」
われわれの口腔内には700種類近い細菌が生息していて、その数は全体で1000億個以上といわれている。そのほとんどが病原性のない細菌で、ウイルスの感染予防や免疫の調節などで重要な役割を果たしている。ミュータンス菌などの“悪玉菌”も存在するが、口腔内をケアして善玉菌を優位にしておけば、口腔内の常在菌は、pHを下げたり、抗菌活性のある物質や過酸化水素を出して、ウイルスや病原菌の定着を防いでくれるのだ。
「ポビドンヨード入りのうがい薬を使って頻繁にうがいをしていると、こうした口腔内の常在菌まで減らしてしまううえ、粘膜にもダメージを与えて傷つけてしまいます。そうなれば、逆にウイルスに感染しやすくなってしまうのです。ポビドンヨードで1日に1、2回程度うがいをするくらいなら大きな問題はないでしょうが、感染を予防するとなれば多用することになります。口腔内のウイルスを減らす効果はあっても、マイナスのほうがはるかに大きいのです」(本間氏)