新型コロナ対策に「次亜塩素酸水」<後編> 空間噴霧は安全か
有効塩素濃度35ppm以上、pH6・5以下の次亜塩素酸水が新型コロナウイルスを99・99%以上、不活性化させるという研究結果を、「独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)」が発表していることは、昨日の当欄で紹介した。
一方で、安全性を疑問視する声が上がっているのが、加湿器などで屋内に次亜塩素酸水を噴霧する「空間噴霧」だ。人体に危険と批判する医療関係者もいる。「次亜塩素酸化学工業会」代表理事の石田智洋氏が言う。
「WHOが『消毒剤を空間噴霧に用いるのは望ましくない』といった見解を示しており、厚労省などもそれに準じているのが現状。そもそも空間噴霧が人体にどう影響を及ぼすのかといった研究がなされていない」
NITEの発表でも「(空間噴霧については今回)言及しない」としており、これは“空間噴霧が危険”との意味ではない。国としての研究結果はないものの、次亜塩素酸水を扱う各メーカーの研究結果はある。
「その一例として、約9畳の部屋で大腸菌または黄色ブドウ球菌の懸濁液を染み込ませた不織布を9カ所に置き、20ppm、pH6・5以下の次亜塩素酸水を空間噴霧した研究では、1時間で大腸菌や黄色ブドウ球菌の30~40%が不活性化し、3時間で99・5%以上、不活性化。5時間では、ほぼゼロになりました」(石田氏=以下同)