10年前に手術した腎臓のがんが右眉毛の上に転移して現れた
これがたとえば遠隔転移のある大腸がんでは、大腸がんの原発巣を切除しても、切除しなくても、生存期間は変わらないという統計上の結果があります。原発巣を切除してもメリットはないというわけです。
もちろん、個々の例によって違ってきます。大腸がんが大きく、腸閉塞を起こしそうな場合などでは、原発巣の手術が行われます。胃がんでも同じです。遠隔転移があると胃の手術をしてもあまりメリットはないので、胃原発巣の切除は行わないのが一般的です。
また腎がんでは、原発巣を切除すると、転移したがんが小さくなってくる場合もあります。大腸がんや胃がんは、原発巣を手術しても転移したがんが小さくなることはありません。多くの腎がんの例で言えることではないのですが、腎がんは他のがんにはない不思議な面を示すケースがあるのです。
転移がある腎がんでは、分子標的治療の後、原発巣の手術が可能であれば行って、その後も転移巣の手術、分子標的治療、放射線治療などが選択されます。