低用量ピルが「生理痛」や「子宮内膜症」に効くのはなぜ?
低用量ピルに含まれるプロゲステロンには子宮の内膜の増殖を抑える作用があります。生理が始まるのと同時に低用量ピルを飲めば、プロゲステロンの効果で子宮の内膜は普段より薄く保たれます。子宮の内膜が薄く保たれれば、生理の量は少なくなります。生理の量が少なくなれば、子宮は頑張って収縮しなくても済むようになり、生理痛は起こらなくなる。以上が低用量ピルが生理痛を改善させる仕組みです。
■治療目的で避妊が必要ない人にも使われる
また低用量ピルは子宮内膜症の治療にも有効です。子宮内膜症は本来子宮の中にしか存在しないはずの子宮内膜が、子宮の外である骨盤内や卵巣に発生する病気です。病変の内膜も生理の度に局所で出血し、炎症を起こすため、痛みを伴います。低用量ピルに含まれるプロゲステロンには子宮内膜症の痛みを緩和させるとともに、病変を萎縮させる効果もあります。
低用量ピルは子宮内膜症だけでなく、子宮腺筋症や子宮筋腫がある場合にもしばしば治療に用いられます。婦人科において治療薬としてのピルの重要性は年々高まってきており、ピル=治療薬という考え方に変わってきています。現在では治療を目的とする場合は、婦人科医は性交渉の有無に関わらず低用量ピルを勧めます。つまり避妊効果が必要でない人にも低用量ピルを出すことがあります。
このことは婦人科に馴染みがない男性にとっては少し意外なことかもしれません。