老眼は進行すれば遠くも見えなくなる 原因は水晶体と毛様体の老化にあり
近くがぼやける、焦点が合わない。老視(老眼は俗称)は目の老化現象の代表的な症状だ。その原因は眼球の周りのピント調節の働きをする毛様体筋が衰えた結果と考えられる。さらに、レンズの働きをする水晶体の調節力が弱まったことも、もうひとつの原因だ。「自由が丘清澤眼科」(東京都目黒区)の清澤源弘院長が言う。
「水晶体はカメラのレンズにあたる働きをしています。近くを見るときは厚くなり、遠くを見るときには薄くなることで、ピント調節をしています。ところが年をとると徐々に水晶体に老廃物がたまるなどして透明度や柔軟性を失って硬くなり、近くを見るピント調節ができなくなってきます。これが老視の状態です」
意外なことだが、ピントの調節力は人体機能の中でも最も早く老化する器官のひとつだという。健康な人の調節力は、10歳で14ジオプター(=D:角膜や水晶体の屈折力の単位。近視・遠視・乱視の強さを表す。マイナス表示は近視、プラス表示は遠視。近視の場合はマイナス3Dまでを軽度近視、マイナス6Dまでを中等度近視、それ以上を病的近視とする)、20歳で10D、30歳では7D、45歳では3D、50歳で2.5D、60歳になればほぼ1Dへと低下する。