「全身がん」でも長生きする人がたくさんいるのはなぜか
乳がんだった女優の樹木希林さんは、62歳で右乳房全摘術を受け、70歳で全身がんを告白し、その後も映画などで活躍され75歳で亡くなられました。樹木さんが69歳の時、医師・作家の鎌田實さんとの対談で、「がんがなかったら、私自身がつまらなく生きて、つまらなく死んでいったでしょう。そこそこの人生で終わった」と語っています。つまり、全身がんとはいっても、全身骨に転移しても、すぐには命に関わらないことが多いのです。
全身骨転移でも長く生きられる。それだけ、その後の人生でいろいろな何かがあり、苦労することもある。Rさんのように帯状疱疹になった方もいる。それでも、うれしい、楽しいこともあるのです。Rさんのお孫さんは小学校に入学するのが来年の春だそうです。「もう青いランドセルを買った」と、自慢の孫の動画が私に送られてきました。Rさんの帯状疱疹は幸い痛みを残すことなく良くなって、いまは元気なようです。
最近、50歳以上の方は帯状疱疹の予防に新しいタイプのワクチンが使えるようになりました。帯状疱疹は、50歳以上では80歳までに3人に1人が発症するといわれています。自治体によっては予防接種費用の助成を行っている所もあります。
樹木さんは2012年のインタビューでこんな言葉を残しています。
「人間はあした地球が滅ぶと分かっていても、きょうリンゴの木を植えなきゃならないものなのよ。そういうふうに考えて生きていきましょうよ」