「全身がん」でも長生きする人がたくさんいるのはなぜか
先日、友人のRさん(64歳・男性)から電話がかかってきました。前立腺がんで全身骨転移があり、治療を受けています。
Rさんによると、右大腿にチクチクした痛みが2日ほど続いた後、水疱が出てきたそうです。近所の皮膚科を受診したところ帯状疱疹と診断され、内服治療を行っているというのです。
3カ月前、Rさんは全身骨転移を告げられて落ち込んでいる様子だったので、「前立腺がんの骨転移では、そう簡単には死なないから」と力づけたばかりでした。
「全身がん」を告白した著名人が、それでも元気で長く生きているのはどうしてだろう? と思われるかもしれません。全身がんと聞くと、肺にも肝臓にも転移しているとイメージしがちですが、長く生きておられる方の全身がんは「全身骨転移」で、他の臓器には転移していない場合が多いのです。
もともとのがんは、男性なら前立腺がん、女性なら乳がんが多いといえます。これらのがんでは、全身骨に転移していても多くはホルモン治療が有効で、長期間にわたって治療が行われるため“元気で長く生きている”という印象を受けるのです。