著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

きれいな空気が長生きにつながる PM2・5の低下で総死亡減

公開日: 更新日:

 大気汚染の原因として、最近特に注目されているのが微小粒子状物質(PM2.5)です。これは空気中に漂っている小さな物質のうち、特にその粒の大きさが2.5マイクロメートル以下というとても小さな微粒子のことを言います。このような大きさの微粒子は、肺の奥まで呼吸と一緒に入り込むので、喫煙と同じように呼吸器の病気などの原因になりやすいと考えられているのです。

 このPM2.5は排ガスや工場からのばい煙など以外に、黄砂など自然由来のものにも含まれています。日本を含めた世界各国は、このPM2.5を減らすための基準を設けています。日本では年平均値で15マイクログラム/立方メートル以下が目標ですが、WHOのガイドラインでは10以下というより厳しい基準が将来の目標とされています。

 それでは、この空気中のPM2.5の量が変化すると、実際にどのような変化が体に起こるのでしょうか。

 今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、カナダでの調査結果が報告されています。それによると10程度の基準を満たしたレベルであっても、心臓病や呼吸器の病気などのリスクは増加していて、それを5くらいの低いレベルに低下させると、総死亡のリスクが12%以上低下する、という結果が得られたのです。

 空気はきれいであればあるほど健康に良い、というのは、科学的にも間違いがない事実であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方