きれいな空気が長生きにつながる PM2・5の低下で総死亡減
大気汚染の原因として、最近特に注目されているのが微小粒子状物質(PM2.5)です。これは空気中に漂っている小さな物質のうち、特にその粒の大きさが2.5マイクロメートル以下というとても小さな微粒子のことを言います。このような大きさの微粒子は、肺の奥まで呼吸と一緒に入り込むので、喫煙と同じように呼吸器の病気などの原因になりやすいと考えられているのです。
このPM2.5は排ガスや工場からのばい煙など以外に、黄砂など自然由来のものにも含まれています。日本を含めた世界各国は、このPM2.5を減らすための基準を設けています。日本では年平均値で15マイクログラム/立方メートル以下が目標ですが、WHOのガイドラインでは10以下というより厳しい基準が将来の目標とされています。
それでは、この空気中のPM2.5の量が変化すると、実際にどのような変化が体に起こるのでしょうか。
今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、カナダでの調査結果が報告されています。それによると10程度の基準を満たしたレベルであっても、心臓病や呼吸器の病気などのリスクは増加していて、それを5くらいの低いレベルに低下させると、総死亡のリスクが12%以上低下する、という結果が得られたのです。
空気はきれいであればあるほど健康に良い、というのは、科学的にも間違いがない事実であるようです。