ネガティブな人に対して「前向きに」と励ますのはご法度
そこで研究者たちは、血流の反応の抑制が望ましいわけですから、ネガティブ思考の被験者たちに、「もっと前向きに考えて」と指示を出しました。ところが、その指示を受けて、さらに血流の反応は激しくなったのです。
なぜ、こんなことが起きたのか? じつは悲観的な状況や感情を無理に肯定しようとした結果、脳内で混乱が生じ、脳がオーバーヒートのような状態になってしまったというのです。そもそも人間は、ポジティブな情報とネガティブな情報がある場合、後者を重要視してしまう傾向があります。「自分を守る」という防衛本能が働くため、センシティブになりがち。そういう状況下にもかかわらず、「頑張って」「前向きに考えよう」などと励ましても、悪循環に陥ってしまう可能性があるのです。
情報を修正しようとするための努力が、逆にその情報を強めてしまうことを「バックファイア効果」と言います。ネガティブ思考の人に「もっとポジティブに」と言うと彼らは自分のことを正そうと試みます。しかし、もともとある否定的感情が葛藤を生み出し、さらにダウン思考に陥らせてしまう--。ネガティブな人にアドバイスやエールを送るときは、バックファイア効果を発動させないようにしなければいけないんですね。