希少がんのひとつ「小腸がん」はなぜ少ないのか 免疫機能が関係
「胃がんや大腸がんの話はよく聞きます。口腔がん、食道がん、直腸がんも聞いたことがあります。でも、『小腸がん』というのはあまり聞いたことがありません。小腸は長さ5~7メートルもあるそうです。どうして小腸がんは少ないのですか?」
患者さんから、こんな質問を受けました。
たしかに、小腸がんは少ないのです。発症は1年間に10万人中0.4人程度と極めてまれで、希少がんのひとつです。
ちなみに希少がんとは、年間で人口10万人当たり6人未満のがんとされています。ただ、「希少」という言葉から、めったにないがんと思われてしまうのですが、実はすべてのがんの約22%を占めています。ですから、希少がんの種類はたくさんあり、がんと診断された際、希少がんである可能性は決して低くはないのです。しかも、希少がんと診断された場合、その専門医は少なく、治療ガイドラインもないことがほとんどで、医師は文献を調べながら治療にあたることが多いといえます。
小腸がんが少ない理由として、小腸は胃と大腸の間に存在するため、口腔、食道、胃に比べて、細菌やウイルス、飲食物などからの直接的な刺激を受けにくい場所であること。また、胃や大腸に比べて免疫機能が高いことなどが考えられています。