体内で曲がる「軟性内視鏡」を使う新手術ロボットなら専用手術室も不要に
国内で新しいタイプの手術支援ロボットの開発が進められている。国内外で最も普及する手術支援ロボットは米国メーカーが開発した「ダヴィンチ」。2年前には国産初の「hinotori(ヒノトリ)」が登場している。これら既存の手術支援ロボットは、いずれも体内に挿入する部分が曲がらない棒状の内視鏡(硬性内視鏡)を使ったロボットだ。
一方、開発中のものは、胃や大腸などの内視鏡検査で使用される柔軟に曲がる「軟性内視鏡」と、ロボット技術を融合した手術支援システム。「軟性内視鏡手術システム(FESS=フェス)」と呼ばれる。開発は慶応義塾大学をはじめ複数の大学やhinotoriを開発したメディカロイドなどによる産学連携で進められている。
どんなシステムなのか。開発プロジェクトの中心メンバーのひとり、湘南慶育病院・消化器外科の和田則仁部長(慶応義塾大学医学部非常勤講師)が言う。
「FESSは体内に挿入する手術動作部と、内視鏡と鉗子(かんし)をモニターで遠隔操作するための操作部から構成されます。手術動作部は1本のしなやかなチューブの中に鉗子とカメラが収められていて、この部分はフレキシブルに曲がりながら患部へと進んでいけます。既存のロボットではアプローチしにくい体深部に到達できるのが最大の強みです」