体内で曲がる「軟性内視鏡」を使う新手術ロボットなら専用手術室も不要に
つまり、既存のロボット手術(腹腔鏡手術)のように体表に4~5カ所穴を開けて手術をするのではなく、FESSで体表を切開するのは手術動作部を挿入する1カ所のみ。患部の場所によっては体表を切開せずに、肛門、口腔、膣などの自然孔(こう)からの手術も可能という。直径3センチ弱の手術動作部のチューブに収納されているのは、直径5ミリの鉗子が3本と、直径8ミリの3Dカメラ1本。これらを自由に操作できる範囲は直径5センチ球内で、いまのところ体表から到達できる深さの範囲は20センチ程度という。
「結腸がんなどでは、患部にクネクネと曲がりながら到達できるので、お腹は切らずに肛門から手術することができます。従来では体表を大きく切開せざるを得ない患部、また多くの臓器に囲まれている膵臓がんなどの患部に対し、より低侵襲で安全な手術ができる可能性があります」
FESSは人が持ち運べる小型軽量ユニットで、ベッドサイドに設置したり、ベッドレールに取り付けることができ、ロボット手術専用の手術室は不要。コスト面も大幅に抑えられるという。