国産初の手術支援ロボット「hinotori」は「ダヴィンチ」の牙城を崩せるか?
「手術支援ロボット」といえば、米国メーカーが開発した「ダヴィンチ」が1999年に発売されて以降、国内外で圧倒的なシェアを占めている。しかし、ついに国産初の手術支援ロボットが登場した。2020年8月、製造販売承認された「hinotori(ヒノトリ)」だ。現在、神戸大学、藤田医科大学、和歌山県立医科大学、徳島大学などに導入されている。
現時点では泌尿器科領域の手術での使用が承認されていて、「前立腺がん」「腎臓がん」「膀胱がん」の手術と、「仙骨腟固定術」「腎盂(じんう)形成手術」が保険診療で実施できる。今後は消化器外科領域、婦人科領域への適応拡大が見込まれている。
hinotoriを開発したのは、医療機器メーカー大手のシスメックス(神戸市中央区)と、産業用ロボットのパイオニアである川崎重工(東京都港区)が共同出資して設立した「メディカロイド」(神戸市中央区)。hinotoriの特徴を同社・経営企画部の田村悦之部長が言う。
「患者さまの手術を行うユニットは独自に開発したコンパクトで自由度の高いロボットアームにより、アーム同士や周囲の医療従事者との干渉(接触など)が起こりにくい構造になっています。また、助手の作業スペースを広く確保している点。執刀医が操作するユニットは人間工学に基づき開発されており、長時間に及ぶ手術の疲労軽減をサポートする点なども特徴です」