著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

外傷による死亡リスクが高いO型は、なぜ血が止まりにくい?

公開日: 更新日:

 O型は、非O型よりも出血のリスクが大きいのではないか--。過去数十年にわたって、世界中の医師たちがそんな疑問を抱き続け、またそれを確かめるために多くの研究を行ってきました。

 その答えのひとつが、2018年に東京医科歯科大学などの研究グループから発表されました。外傷で救急搬送された901人の患者カルテを調べたところ、O型の死亡率が28%、非O型が11%と、明らかにO型の死亡率が高かったというのです。O型は血が固まりにくいため、失血死する人が多かった可能性が示唆されています。

 また20年には、アメリカの研究グループが、出産時の大出血(1000㏄以上)のリスクを、患者データベースを使って調べました。その結果、通常の分娩では大出血のリスクに差はないものの、帝王切開に限ればO型のリスクが有意に高いことが明らかになりました。O型では帝王切開を受けたうちの5.2%が大出血したのに対し、A型は3.8%、B型4.4%、AB型4.2%にとどまっていたというのです。

 ではなぜ、O型の出血リスクが高いのでしょうか。じつはO型は、血液凝固因子の一部が、非O型と比べて薄いのです。これはかなり以前から知られている事実で、だからこそ、医師たちは長年にわたって血液型と出血リスクの関係を調べ続けてきたのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした