「ペスト」はO型とそれに近いA型は感染しやすく、死亡リスクが高い
重要な感染症に「ペスト」と「結核」があります。
ペストはペスト菌による感染症で、ネズミからノミを介して人に感染します。ご存じの「黒死病」です。14~17世紀にかけて、ヨーロッパで何度も大流行を起こし、とくに1347年から51年の流行では、当時のヨーロッパの人口の半分が失われたといわれています。
ペスト菌が体内のどこで増殖するかで、腺ペスト(リンパ節で増殖)と肺ペストに分けられています。どちらも致死率がきわめて高く、とくに肺ペストの致死率はほぼ100%でした。
日本では、最も危険な1類感染症に指定されています。ただし患者はここ数十年、ひとりも出ていません。中国内モンゴル自治区などでは、いまでもときどき患者が発生することがありますが、抗生物質がよく効くため、さほど恐れる病気ではなくなっています。
ペスト菌の生化学的な研究などから、O型の人や、O型に近いA型(A2型、A3型など)は感染しやすく、死亡リスクも高いといわれています。逆にA1型(普通のA型)やB型は、抵抗力が強いと考えられています。ただし疫学的な研究はほとんどされていないので、あくまでも仮説のレベルです。とはいえ、これによってヨーロッパの血液型の分布(O型とA型が拮抗している)をうまく説明できるため、それなりの支持を集めています。