がんと闘うための「心構え」…動揺や不安を抱えたまま大きな決断をしてはいけない
③仕事はやめない
東京都のがん患者調査によると、がんと診断されたときにすでに就労していた人の24.7%が退職している。
さらに、その後再就職をしていない人の約77%が自ら退職を決めたという。その理由として、がんと診断された患者は、周囲に迷惑をかけたくない、あるいは体力面で就労継続が困難であると悩みながらも、どこに相談すればよいか分からず、医療機関や職場に相談する前に離職を選択してしまう場合があると報告されている。
また、がんと診断された従業員が治療と仕事を両立できる職場環境を整備できていない企業があるのも理由のひとつだという。実際、厚労省の調査では、がんの診断後に約4%の人が解雇され、約30%の人が依願退職しているとの報告がある。
「日本では、がんに罹患する人は2人に1人、そのうち3人に1人は就労可能な年齢です。1年間に新たにがんと診断された人は約100万人で、いまは入院せずに外来で治療している人も増え、働きながら治療を続けることも可能になってきました。家族を養うために働かなければならない患者もたくさんいますが、経済的な面だけでなく、仕事を続けることは“張り合い”という意味でも治療の支えになります。がんと診断されても、不安な気持ちから退職を選択しないでほしい」(佐々木氏)
2016年、がん対策基本法の一部改正により、事業主の責務として、がん患者の雇用の継続などに配慮するよう努めることが新たに規定された。また、日本対がん協会は「通院しながら」「会社や病院と相談しながら」働く患者を「ながらワーカー」として支援している。
現在は多くのがんで仕事を続けながら治療を行うことが可能になっている。告知に動揺して「治療に専念する」という思いにとらわれ、早まって仕事をやめてはいけない。