物価上昇前に検討したい 人工骨を使わない歯科インプラント
とはいえ歯科インプラントにはデメリットも存在する。公的保険外なので治療費が高い、手術が必要なうえ抜歯や経過観察期間などを含め1年近くかかることもある、手術後のメンテナンスが必要である、インプラント歯周炎と呼ばれる感染症にかかる場合がある、などだ。
「この中でもとくに患者さんが嫌がるのが長い治療期間と感染症リスクです。その一因にインプラント治療に使われる人工骨と呼ばれる歯科材料があります。インプラントの前治療などに多くの歯科医師は歯周病などで溶けたあごの骨(歯槽骨)を人工骨を使って再生します。それが原因でさまざまなトラブルが発生するのです」
人工骨は骨の成分に類似した人工の化合物や牛などの動物の骨を処理したものなどで作られている。その粒子をやせた歯槽骨の上に載せて時間が経つと、骨芽細胞が粒子の間に入り込み、その部分に骨が再生される。そのうえでボルトを埋め込み人工歯冠などを載せていく。しかし固形の人工物を体内に入れるため、手術も大掛かりとなり術後の痛みや腫れが問題になる。
「人工骨は人間にとって異物です。そのため人工骨がある場所に炎症が起きて痛みや腫れが生じる場合があります。細菌が感染するとあご全体が腫れ上がっておたふく風邪のような症状になることもある。その場合は治りにくく人工骨を取り去る手術が別途必要になるケースもあります」