「物忘れ」から始まる認知症は進みにくい 米国の2400人データから判明
認知症の初期症状として最も多いのは、今覚えたことをすぐ忘れてしまう、という「物忘れ」です。しかし、それ以外に言葉の出なくなる失語や、馴染みのある場所で迷子になってしまう見当識障害など、他の症状で始まる認知症もあります。
認知症のタイプによっては、見えないものが見える幻視という症状が出ることもあります。
失語や見当識障害は、それだけでも病気を疑う症状ですが、物忘れというのは、年齢を重ねれば誰でも出る可能性のある症状で、それだけで異常とは言えません。自然な老化による症状として、他の症状を伴ったり進行したりすることなく、天寿を全うする場合も多いのです。しかし、同じ物忘れでも、認知症に進行することもあるので、話は厄介です。それでは、物忘れから始まる認知症と、他の症状から始まる認知症とで、何か違いはあるのでしょうか?
今年の認知症の専門誌に、興味深い研究結果が発表されています。アメリカで死後の解剖所見で診断された、認知症の2400人を超えるデータを解析したところ、物忘れが最初の症状の認知症は、他の症状から始まる認知症と比較して、進行がゆるやかであることが分かったのです。
認知症と一口に言っても、その進行の速さはさまざまで、物忘れ以外の症状から始まる場合には、より注意が必要であるようです。