新井平伊
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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

その物忘れは正常な老化現象? 軽度認知障害が疑われるのは…

公開日: 更新日:

 米アルツハイマー協会が毎年報告している「Alzheimer'sDiseaseFactsandFigures」2022年版では、米国の推定12~18%が軽度認知障害(MCI)を持っているとの報告でした。

 MCIとは、物忘れはあるものの日常生活に支障がない、正常と認知症の中間の状態です。MCIのうち年間10~30%が認知症に進行するといわれています。

 米国のデータでは、このMCIについて詳細に把握している人は5人に1人未満(18%)。半数近い43%の人が、MCIについて聞いたことがないとの回答でした。また55%の人が、MCIについての詳しい説明を受けると、「正常な老化のように思える」と回答したとのこと。

 日本では、厚労省の少し古いデータになりますが、2012時点で65歳以上の推定13%(400万人)がMCIを持っていると推定されています。

 MCIの認知度については、米国のデータとそう変わらないと予想されます。

 メガネを置いた場所がわからなくなる。買い物に出かけたはいいが、「何を買おうと思っていたんだっけ?」となる。話しているうちに、話そうと思っていた内容がわからなくなる──。これらはかつては「年のせい(正常な老化現象)」と考えられてきました。しかし近年では、正常な老化現象ではなく、MCIによる物忘れの可能性もあると指摘されています。

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