著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

認知症は「食事」では予防できない? スウェーデンでの長期大規模研究の報告

公開日: 更新日:

 認知症の増加は社会全体が取り組むべき深刻な健康問題です。今のところ進行を遅らせる薬はあっても、認知症そのものを治すような治療法は開発されていません。そうなると、重要なのは認知症の予防です。

 認知症は生活習慣と関わりがあるという考え方があり、運動習慣や食事内容の改善が、その予防に一定の効果があったとする報告もあります。ただ、その多くは対象の人数が限られていたり、経過を観察する期間が短かったりして、信頼のおける結果とは言えないものなのです。

 今年の神経医学の専門誌に、スウェーデンにおける大規模な臨床データが発表されています。2.8万人を超える、認知症のない一般住民を対象として、詳細な食事内容の調査を実施。その後の経過を20年以上にわたって観察したという、非常に大規模で長期間の臨床研究です。現在、世界的に推奨されている、食物繊維や魚を多く取り、赤身の肉や加工肉を減らした食事を厳しく守っている人と、そうした注意を食事にまったくはらっていない人とを比較したところ、意外なことに認知症の起こるリスクには、はっきりとした差は見られませんでした。

 もちろんこうした健康食には、動脈硬化の病気の予防効果などは確立されているので、その効果が否定されたわけではないのですが、認知症の予防というのは、そう簡単なものではないようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    公明票消失で自民衆院「東京選挙区」が全滅危機…「萩生田だけは勘弁ならねぇ」の遺恨消えず

  4. 4

    星野監督時代は「陣形」が存在、いまでは考えられない乱闘の内幕

  5. 5

    「自維連立政権」爆誕へ吉村代表は前のめりも、早くも漂う崩壊の兆し…進次郎推しから“宗旨変え”

  1. 6

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  2. 7

    国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎる

  3. 8

    自民「聞いてないよォ」、国民・玉木氏「どうぞどうぞ」…首相指名の行方はダチョウ倶楽部のコント芸の様相

  4. 9

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  5. 10

    「ガルベスと牛乳で仲直りしよう」…大豊泰昭さんの提案を断固拒否してそれっきり