著者のコラム一覧
森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

肩関節の腱が切れる「肩腱板断裂」があっても肩は動かせる

公開日: 更新日:

 40歳以上に多い肩の疾患に「肩腱板断裂」があります。腕の骨と肩甲骨をつなぐ腱が切れてしまった状態です。

 肩腱板断裂について調べると、大抵の場合、「腕が上がらなくなる」「肩関節の痛みがある」などと書かれています。私がお伝えしたいのは、肩腱板断裂があっても、「たいていは腕が上がる」「無症状の場合もある」ということです。

 腱が断裂する病気で有名なものとして、アキレス腱断裂があります。

 アキレス腱は足のかかとの腱で、1つしかありません。これが切れるとふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の働きが弱くなり、歩行能力が低下します。つまり、歩けはするけど、しっかり歩いたり走ったりはできなくなる。ローマ帝国時代の奴隷は、脱走しないようにアキレス腱を切られて作業をさせられていたことは有名な話です。

 一方、肩関節の腱(肩腱板)は4つあり、肩腱板断裂はすべての腱が断裂するわけではありません。最大3つまでで、多くの症例は1つか2つの腱までになります。

 損傷のない腱が残っており、さらには腱以外にも肩関節や肩関節の周りに約30の筋肉が関与しているため、腱板断裂が起こっても腕が上がらないということは簡単に起こりません。

 次週は「肩腱板断裂があっても無症状のこともある」ということを解説します。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー