骨粗しょう症の薬で糖尿病が予防できる? 医学誌BMJで報告
新薬の開発には莫大なお金と時間がかかります。特に最近の新薬は、遺伝子工学の高度な技術を駆使してつくられていますし、その発売前の臨床試験も大規模なものを行わないと、世界で売れるような薬をつくることはできません。したがって、良い薬が開発されても、その価格は非常に高価なものになるのです。人口の高齢化に伴って、医療費は通常の治療だけでも増加しますから、新薬を使い続ければ、医療自体の維持が困難となることも当然考えられます。それでは、どうすればよいのでしょうか?
最近、注目されているのが、今までにある薬を、元の適応となっている病気とは、別の病気の治療に役立てるという考え方です。以前にも関節リウマチの薬が脱毛症の治療に有効、というような事例を紹介しました。今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、骨粗しょう症の治療薬が、糖尿病の予防にも効果がある、という研究結果が報告されています。
それはデノスマブという、注射で使用する骨の薬です。この薬には骨の代謝だけではなく、糖代謝を改善するような効果があり、今回の研究結果では、この薬を使用している人は32%糖尿病が予防されていました。特に糖尿病予備群と診断されていた人では66%の予防効果があったのです。これからは薬も“二刀流”で、医療費も増やさない治療が必要であるようです。