著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

骨粗しょう症の薬で糖尿病が予防できる? 医学誌BMJで報告

公開日: 更新日:

 新薬の開発には莫大なお金と時間がかかります。特に最近の新薬は、遺伝子工学の高度な技術を駆使してつくられていますし、その発売前の臨床試験も大規模なものを行わないと、世界で売れるような薬をつくることはできません。したがって、良い薬が開発されても、その価格は非常に高価なものになるのです。人口の高齢化に伴って、医療費は通常の治療だけでも増加しますから、新薬を使い続ければ、医療自体の維持が困難となることも当然考えられます。それでは、どうすればよいのでしょうか?

 最近、注目されているのが、今までにある薬を、元の適応となっている病気とは、別の病気の治療に役立てるという考え方です。以前にも関節リウマチの薬が脱毛症の治療に有効、というような事例を紹介しました。今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、骨粗しょう症の治療薬が、糖尿病の予防にも効果がある、という研究結果が報告されています。

 それはデノスマブという、注射で使用する骨の薬です。この薬には骨の代謝だけではなく、糖代謝を改善するような効果があり、今回の研究結果では、この薬を使用している人は32%糖尿病が予防されていました。特に糖尿病予備群と診断されていた人では66%の予防効果があったのです。これからは薬も“二刀流”で、医療費も増やさない治療が必要であるようです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る