「テロメア」は長くても危険!? 海外の一流医学誌が掲載
遺伝子が折り畳まれた染色体を、両端で保護するような構造のことを「テロメア」と呼んでいます。細胞は分裂すると同じ細胞になりますが、テロメアと呼ばれる部分だけは、分裂ごとに短くなることが知られています。つまり、細胞が年齢を重ねるごとにテロメアは短くなります。そして、テロメアがなくなると、もうその細胞は分裂できなくなるのです。これが細胞の寿命です。テロメアが短いことは、それだけその細胞が老化している、という意味でもあるのです。
テロメアの長さには個人差があり、それが短いと、慢性の内臓の病気や血液の病気になりやすいことが知られています。こうした情報からは、テロメアが長いほど健康で長生きになるように思われます。それは本当でしょうか?
今年の「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という一流の医学誌に、意外な研究結果が報告されました。先天的にテロメアが長くなる遺伝子の変異があり、そうした変異を持つ人を調べたところ、クローン性造血という、老化に伴って起こることの多い血液細胞の異常が高率に見つかったのです。この異常があると、血液のがんなどのリスクが増加することが知られていて、実際にテロメアの長い変異のある人で、そうしたがんが多く発生していました。
テロメアが長いことも、決して良いことばかりではないようです。